マイルスとカエターノのPrenda Minha

マイルスが唯一ボサノバを取り上げたアルバムとして知られるQuiet Nights(1963)。マイルスファンはもちろん、本人さえもディスっていますw。


ですが、個人的には嫌いではありません(というかかなり好きです)。そのQuiet Nightsについて、昨日、対バンのパーカッションのケペル木村さんから伺った興味深い話(もしかしたら有名な話?)。
マイルス好きで知られるカエターノ・ヴェローゾですが、彼がマイルスに対して唯一、心外に思っていたのがQuiet Nights1曲めの「Song No.2」の件。この曲はPrenda Minhaというブラジルのフォークソングがベースになっている(というかそのまんま)のだけれど、作者としてはギル・エバンスとマイルスがクレジットされているのだそう。
カエターノは、1998年にその名もズバリなPrenda Minhaというタイトルの大傑作ライブアルバム(およびDVD)をリリースしていますが、これはマイルスに対するリスペクトとともに、Song No.2へのちょっとした仕返し的な意味合いがあるのだそうだ(もちろんマイルスはその時点では死んでいる)。
実際、ライブのイントロダクション的部分のガットギター+語りパートで、「Domínio Público (パブリックドメイン的な意味)〜マイルス・デイヴィス」とつぶやいています。その後、アフロバイーアリズムのパーカッション部隊が入りドラマチックな展開のJorge de capadocia、そしてマイルス&ギルに対するカエターノ&ジャキスのアンサーとも言えるタイトル曲のPrenda Minhaへとつながっていきます。

1 Jorge Da Capadocia – Prenda Minha – Caetano Veloso

2 Prenda Minha – Prenda Minha – Caetano Veloso

後日、カエターノはA Foreign Sound(2004)でも、アメリカの著作権ビジネスによる伝承曲の搾取の問題を取り上げています。